ITパスポートは、名前から「エンジニア向けの資格」と思われがちです。しかし実際の出題を見ると、その理解は正確ではありません。
出題は3つの分野に分かれており、その配分はこうなっています。
| ストラテジ系 | 約35問。経営戦略、マーケティング、法務、財務 |
|---|---|
| マネジメント系 | 約20問。プロジェクト管理、システム開発の進め方 |
| テクノロジ系 | 約45問。ネットワーク、セキュリティ、データベース |
技術的な内容は全体の半分以下で、残りは経営やビジネスの知識です。企業法務、著作権、労働関連法規、財務諸表の読み方まで含まれます。
つまりITパスポートは「ITを使って仕事をするすべての人のための、社会人の共通知識」を扱う試験です。エンジニアを目指す人だけのものではありません。
この試験の特徴は、受けやすさにあります。
年1回しかチャンスのない資格が多いなかで、都合のよい日を選んで受けられるのは大きな利点です。不合格でも、しばらく空ければ再挑戦できます。
100問を120分で解き、1000点満点で採点されます。合格には総合600点以上が必要ですが、それだけではありません。
3つの分野それぞれで300点以上を取る必要があります。総合点が足りていても、1分野でも300点を下回ると不合格です。得意分野だけで稼ぐ戦略は通用しません。
文系出身の人はテクノロジ系、技術者はストラテジ系でつまずくことがあります。自分の弱い分野を早めに把握して、そこに時間を配分するのが現実的です。
受験者層は、想像より幅広くなっています。
企業によっては、全社員に受験を推奨したり、資格手当の対象にしたりしている例もあります。IT企業に限らず、金融、製造、小売など幅広い業種で導入が進んでいます。
ITパスポートの上位には、段階的に資格が用意されています。
| ITパスポート | ITを使うすべての人向け。約100時間 |
|---|---|
| 基本情報技術者 | エンジニアの登竜門。アルゴリズムやプログラミングを含む |
| 応用情報技術者 | 技術に加えて企画・管理の視点。記述式あり |
技術職を目指すなら基本情報へ進む道がありますが、非IT職の人はITパスポートで十分な場合も多いです。無理に上位を目指すより、業務に関連する別分野の資格(簿記やビジネス実務法務など)を組み合わせるほうが実利につながることもあります。
目安の学習時間は約100時間とされています。1日1時間なら3か月強、1日2時間なら2か月弱です。
ITパスポートは、投じた時間に対して得られるものが分かりやすい資格だと思います。国家試験でありながら受験のハードルが低く、内容は日常業務に直結している。「何か資格を取りたいが何にすべきか分からない」という段階の人にとって、最初の一歩として選びやすい試験です。