社会保険労務士と行政書士は、どちらも独立開業できる士業です。名前が似た印象を持たれることもありますが、扱う領域はほとんど重なりません。
| 社会保険労務士 | 働くことに関する専門家。労働・社会保険の手続き、就業規則、労務相談 |
|---|---|
| 行政書士 | 許認可の専門家。官公署に提出する書類の作成が中心 |
社労士は企業の人事労務に深く関わり、顧問契約という形で継続的な関係を築くのが一般的です。行政書士は建設業許可、飲食店営業、在留資格など、案件ごとに依頼を受ける形が多くなります。
この2つには、大きな違いが2点あります。
行政書士には受験資格がありません。年齢、学歴、実務経験を問わず誰でも受験できます。一方社労士には受験資格があり、大学卒業、実務経験、または特定の国家資格の保有などが必要です。
この違いは大きく、社労士は「そもそも受けられるか」の確認から始まります。
数字だけ見ると社労士のほうが難関ですが、行政書士も決して易しくはありません。学習時間はいずれも500〜1000時間規模とされています。
社労士試験には、選択式と択一式それぞれに科目ごとの基準点があります。総合点が足りていても、1科目でも基準を下回ると不合格です。
科目数が多いため、苦手分野を作れません。得意科目で稼ぐ戦略が使えない点が、合格率の低さにつながっています。
行政書士試験には40字程度の記述式問題が3問あり、配点は60点です。300点満点中の60点なので、ここの出来が合否を分けます。
また一般知識等の科目にも基準点があり、法令だけ勉強していると足元をすくわれる構造になっています。
企業と月額の顧問契約を結び、継続的に労務相談や手続きを担当する形が中心です。収入が安定しやすい反面、顧客を開拓するまでの営業が必要になります。
働き方改革、ハラスメント対応、同一労働同一賃金など、企業が対応すべき制度が増えており、需要は堅調とされています。
許認可申請は単発の依頼が中心です。そのぶん、どの分野に特化するかで仕事の性質が大きく変わります。
独立せず、会社員として活かす道もあります。
社労士は人事労務部門で直接役立ちます。勤務社労士として登録することもでき、社内の制度設計や労務管理に専門性を持ち込めます。
行政書士は、企業内では登録できないという制約があります(行政書士として登録するには開業が前提)。ただし学習内容自体は、法務や総務の仕事で活きる部分があります。
| 今すぐ受験したい | 行政書士。受験資格がありません |
|---|---|
| 人事労務の経験がある | 社労士。実務と学習内容が直結します |
| 企業内で活かしたい | 社労士。勤務社労士として登録できます |
| 独立して幅広く扱いたい | 行政書士。扱える業務範囲が広い |
| 安定した収入を重視 | 社労士。顧問契約という形があります |
どちらも1000時間近い学習を要する資格です。途中で方向転換すると大きな時間の損失になるため、着手前に自分の目的をはっきりさせておくことをおすすめします。