看護師国家試験とは?合格率90%の裏にある「新卒と既卒」の差
看護師国家試験の合格率は、ここ数年88〜91%程度で推移しています。国家資格としては高い水準で、「看護学校を出れば、ほとんどの人が受かる試験」というイメージを持たれることもあります。
ただし、この数字だけで「やさしい試験」と判断するのは早計です。理由は、試験そのものの前に立ちはだかる、別のハードルにあります。
看護師国家試験を受けるには、看護師養成課程のある大学・短大・専門学校を卒業する必要があります。つまり、受験するまでに最低でも3年間の専門教育を修了していなければならず、受験者の母集団があらかじめ選抜されている状態で試験に臨むことになります。
合格率の高さは、試験問題がやさしいからではなく、受験する時点で一定水準の知識が身についている人しか受けられないという構造によるものだと理解しておく必要があります。
実は、看護師国家試験の合格率には大きな内訳の差があります。ある年度のデータでは、新卒者の合格率が94.1%だったのに対し、既卒者(過去に不合格になり再受験した人)の合格率は32.3%にとどまりました。
この差が生まれる理由として、学校で学んだ知識が時間とともに薄れること、就職予定先で働きながら受験勉強と両立する難しさなどが挙げられます。「学生のうちに一発合格を目指す」ことの意味は、この数字を見ると分かりやすいかもしれません。
試験は必修問題50問・一般問題130問・状況設定問題60問の合計240問で構成されています。合格には、一般問題・状況設定問題で6〜7割程度の正答率が必要なことに加え、必修問題で8割以上を正答することが絶対条件です。
必修問題は基礎的な内容が中心ですが、ここで8割を切ると、他がどれだけできていても不合格になります。応用問題の対策に気を取られて基礎を疎かにすると、思わぬところで足をすくわれる仕組みです。
看護師免許を取得したあとは、保健師・助産師といった上位資格に進む道も開けます。いずれも「看護師国家試験に合格していること」が前提条件になっており、看護師はこれらの資格の土台という位置づけです。病院だけでなく、クリニック、訪問看護、企業の産業保健など、活躍の場は年々広がっています。