衛生管理者は、知名度の割に企業からの需要が安定している資格です。理由は法律にあります。
労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者がいる事業場には衛生管理者の選任が義務づけられています。事業場の規模に応じて必要な人数も定められており、50人以上で1人、200人超で2人、というように増えていきます。
選任しなければ法令違反になります。そのため企業は、有資格者を確保し続ける必要があります。この設置義務が、資格の価値を支えている構造です。
衛生管理者には2種類あり、どの業種で選任できるかが違います。
| 第一種 | すべての業種で選任可能。製造業、建設業、医療業なども含む |
|---|---|
| 第二種 | 有害業務と関連の少ない業種のみ。情報通信業、金融業、卸売・小売業など |
迷ったら第一種を選ぶのが無難です。第二種では選任できない業種があるため、転職時に使えない可能性があります。第一種はすべての業種をカバーするため、汎用性が高くなります。
誰でも受けられる資格ではありません。学歴に応じた労働衛生の実務経験が必要です。
ここでいう実務経験は、専門職に限りません。健康診断の実施に関する事務、職場の環境整備、安全衛生委員会の運営なども該当します。総務や人事の担当者が該当するケースは少なくありません。
事業者証明書が必要になるため、勤務先に発行を依頼する必要があります。この点は事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
出題は3分野です。
| 関係法令 | 労働安全衛生法を中心とした法律 |
|---|---|
| 労働衛生 | 作業環境、健康管理、有害物質など |
| 労働生理 | 人体の仕組み、疲労、ストレス |
合格には各分野40%以上、かつ全体で60%以上が必要です。1分野でも大きく落とすと不合格になります。
学習時間の目安は約100時間。範囲は限定的で、市販のテキストと過去問で対応できる水準とされています。合格率は第一種で40〜50%程度です。
注意したいのが受験地です。試験は安全衛生技術センターで実施されますが、全国に7か所しかありません。
北海道、宮城、千葉、愛知、兵庫、広島、福岡。多くの人にとって、移動をともなう受験になります。
一方で、ほぼ毎月実施されているのは利点です。年1回の資格と違い、都合のよい月を選べます。出張試験が開催される地域もあるため、公式サイトで確認してみてください。
この資格が活きるのは、次のような立場の人です。
逆に、実務経験の要件を満たしていない場合は受験できません。まず自分が受験資格を持っているかの確認から始める必要があります。
メンタルヘルスやハラスメント対応への関心が高まるなか、労働衛生の知識を持つ人材の重要性は増しています。地味な資格ですが、企業に必要とされ続けるという点で堅実な選択肢だと思います。