資格を調べていると「業務独占資格」という言葉が出てきます。これは、その資格を持つ人だけが行える仕事がある資格のことです。
分かりやすい例が医師です。医師免許がなければ診療はできません。同じように、税務代理は税理士、建築物の設計は一定規模以上であれば建築士、というように法律で範囲が定められています。
一方で、多くの資格には独占業務がありません。簿記やTOEICがその代表です。簿記の資格がなくても経理の仕事はできますし、TOEICのスコアがなくても英語を使う仕事に就くことはできます。
独占業務の有無に関連して、資格は次の3タイプに整理できます。
| 業務独占資格 | その資格がないと、その仕事自体ができない。例:医師、税理士、電気工事士 |
|---|---|
| 名称独占資格 | 仕事はできるが、資格がないとその名称を名乗れない。例:保育士、栄養士、中小企業診断士 |
| 必置資格 | 事業所に有資格者を置くことが法律で義務づけられている。例:宅地建物取引士、衛生管理者、防火管理者 |
この3つは重なることもあります。たとえば宅地建物取引士は、事業所への設置が義務づけられている必置資格であると同時に、重要事項の説明など有資格者しか行えない業務も持っています。
必置資格は見落とされがちですが、就職では強い意味を持ちます。企業が「置かなければならない」資格なので、条件を満たす人材を継続的に必要としているためです。
独占業務のある資格の強みは、資格そのものが仕事に直結することです。有資格者しかできない仕事があるため、需要が景気や流行に左右されにくく、独立開業の道も開けます。
その代わり、取得の難易度は高い傾向があります。国が業務を限定している以上、一定の水準を求めるのは自然なことだからです。取得までに数年かかるものや、養成課程の修了が前提となるものも少なくありません。
しかくびよりに掲載している資格のうち、養成学校や指定の課程を修了しないと受験できないものは58件ありました。その多くが医療・福祉系の業務独占資格です。
ここは誤解されやすい点です。独占業務がない資格は「意味がない」のではなく、役割が違います。
こうした資格は、知識やスキルの証明として機能します。経理の求人で簿記2級が歓迎条件になっていたり、社内の昇進要件にTOEICのスコアが設定されていたりするのは、その仕事ができることを客観的に示せるからです。
また、独占業務のある資格に比べて学習の負担が軽いものが多く、働きながらでも取りやすいという実際的な利点があります。
目的から逆算するのが確実です。
迷ったときは、興味のある業界の求人を見て「資格必須」と書かれているものがあるか確認してみてください。そこに書かれている資格が、その業界で実際に効いている資格です。