資格を取れば収入が上がる、とは限りません。しかし手当の対象になりやすい資格には、はっきりした共通点があります。
それは、法律で「その資格を持つ人がいなければならない」と定められていることです。
| 宅地建物取引士 | 事務所ごとに従業者5人につき1人以上 |
|---|---|
| 衛生管理者 | 常時50人以上の事業場に選任義務 |
| 危険物取扱者 | 危険物を扱う施設に必要 |
| 電気主任技術者 | 事業用電気工作物の保安監督 |
| 旅行業務取扱管理者 | 旅行業者の営業所ごとに |
企業からすると、これらの資格保有者を確保できなければ事業を続けられません。だからこそ、手当を払ってでも社内に置いておきたい。この構造が、手当の根拠になっています。
金額は企業によって大きく異なりますが、おおよその傾向はあります。
月1万円でも、年間で12万円です。学習に300時間かけたとしても、2年目以降は純粋な上乗せになります。一度取れば継続的に効くという点が、資格手当の特徴です。
ただし手当の有無と金額は、就業規則によって定められています。転職を考えるときは、求人票の「資格手当」の記載を確認するか、面接で質問してみることをおすすめします。
正直にお伝えすると、手当の対象になりにくい資格もあります。
これらの資格に価値がないという意味ではありません。知識そのものが役立つ、話題の引き出しになる、自分の関心を深められるといった効用はあります。ただ、直接的な収入増を期待するなら別の軸で選ぶ必要があるということです。
資格が収入に結びつく経路は、手当だけではありません。
応募条件に資格が書かれている求人には、資格がなければそもそも応募できません。選択肢が増えること自体が、条件のよい仕事に出会う確率を上げます。
金融機関やメーカーでは、特定の資格が昇格の条件に組み込まれていることがあります。この場合、手当そのものより役職に就くことによる基本給の変化のほうが大きくなります。
独占業務のある資格は、独立開業の土台になります。行政書士、社会保険労務士、税理士などがこれにあたります。ただし資格があれば仕事が来るわけではなく、営業力や実務経験が別途必要になる点は理解しておく必要があります。
資格取得には、時間とお金の両方がかかります。判断するときは、次の3つを並べて考えるのが現実的です。
| 投入する時間 | 学習時間の目安。100時間か1000時間かで意味が変わる |
|---|---|
| かかる費用 | 教材費、受験料、講座費用、登録料 |
| 得られるもの | 手当、応募できる求人、昇格、独立の可能性 |
たとえば危険物取扱者乙4は、50時間程度の学習と数千円の受験料で、月数千円の手当につながる可能性があります。一方、税理士は数千時間を要しますが、独立という選択肢が開けます。投入と回収の規模が、資格ごとにまったく違うということです。
資格を選ぶ前に、できればやっておきたいことがあります。
資格は目的ではなく手段です。何のために取るのかがはっきりしているほど、選択を間違えにくくなります。収入を上げたいのか、仕事の幅を広げたいのか、独立したいのか。そこから逆算して選んでみてください。